集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

2-7 発問の仕方 (新しく先生となるみなさんへ)

花0802。 「最高気温が40度を…」とニュースが伝える暑い一日でした。  全国の多くの都府県に熱中症警戒アラートが発表され、外出は極力控えるように呼びかけられていました。   ◇熱中症警戒アラート環境省)  みなさん、“安全”に過ごしましたか。  平成の頃、新任教員に「学校のこと」「教職のこと」を紹介する冊子『新しく先生となるみなさんへ』が配付されていました。  当時とは教育を取り巻く状況が変わっていますが、若い先生や教職を目指す若者に参考となる部分もあると思います。  その冊子(平成19年度)から順に紹介していきます。 ********     教員の一日     7 発問の仕方  教育は,「教員が教材を通して,子供に問いかけ,考えさせ,判断させるように働きかけること」とも言える。  「問い−笞え」の間には思考がある。「問い−思考−答え」の過程で子供は何かについて問い,何かについて思考し,何かを発見する。この思考の対象が教材である。  子供の思考過程については多くの説があるが,学習指導要領の精神などから読み取ると,次のように表すことができる。  『問題の発見−問題の確認−仮説の設定−推理・推論−検証』  子供の思考過程は,すべてこの過程を通るとは限らず,子供の直感,興昧・関心,想像力などの情意的要因に支えられて進められる。  〔よい発問〕→(内容の条件) (1) 発問は,思いつきでするものではなく,学習のねらいと子供の実態などに即して,一連の系統と深まりをもったものでありたい。 (2) 発問は,1時間の学習過程に応じたものでありたい。  ア 導入時の発問   子供が,今までに経験した事柄を思い出レ学習内容に興昧をもち,問題を把握し,予想を立てることができる内容  イ 展開時の発問   教材のねらいを明らかにし,子供の思考過程を予想し,個別思考,集団思考を促す内容  ウ 整理時の発問   学習事項の要点をおさえ,次時へ発展する内容 図形0802。(3) 幅のある発問でありたい。   二者択一式の答えを要求する一問一答式の発問は,子供の発想や思考の入る余地が少ない。発問に幅があることは,思考をゆさぶる発問であって,幅のある答えである一問多答,波紋の広がりが得られるような一問連答が期待できる。これは個別思考から集団思考へと発展する。 (4) 子供の思考力に合った発問でありたい。   子供の思考力を超えた発問は,その意図が明確であっても適切な答えは期待できない。 (5) 子供がはっとする発問でありたい。   新鮮で独創的な発問は,子供が考えようとする意欲を高めるものであり,子供のもっている既成の概念をくずすことができるものである。  〔うまい発問〕→(技術の条件) (1) 発問は1回で理解させるのが原則   授業中の発問の回数は少ないほどよい。1回の発問で,子供に考える時間を十分に与えることが大切である。そして,学級の中に次々と発言が広がっていくような発問を工夫することが必要である。 (2) 発問のタイミング   発問は,場の雰囲気と学習の流れと子供の動きに応じて,ずばりと投げ込むタイミングが必要である。 (3) 間の取り方   発問の間を決めるものは,発問の質とそれに応じる子供の状態である。30秒以上間をおく発問は,1時間の授業中,3回以上ほしいと言われている。 (4) 簡潔ではっきりしたことば   「その」「あの」「この」のようなことばが多過ぎて,教員の意図が子供に理解されず,思考が混乱することがある。
   発問への道のり  「比喩表現を使った文章を書いてみよう」  黒板に書いた発問を見て,生徒は困惑しているようだった。比喩表現については,授業できちんと指導したはずなのに……。そこで,生徒と一緒にカメラを持って散歩に出掛けた。心を動かされたものの写真を,班ごとに自由に撮るように指示を出すと,それぞれ楽しんで写真を撮り始めた。  次の時間,印刷した写真を持っていくと,生徒たちが目を輝かせていた。「写真に写っているものを使って,比喩表現を使った文章を書いてみよう」前の発問とほぽ同じ発問なのに生徒はすぐに書き始めた。  発問とは,その内容も大切であるが,発問に行き着くまでの準備や生徒に意欲をもたせる環境づくりも,大事な発問の一環なのだと強く考えさせられた。(平成18年度初任者)
********  注)これまでの記事は〈タグ「新しい先生」〉で  注2)掲載しているイラストは、学年通信(1993・1994年度)用に教員が描いたもので、冊子との関連はありません。