集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『孤独のすすめ』(五木寛之・著)

実1229。 先日の雪に寒さを感じ,気温も低いけれど,日差しに“温もり”を感じる一日でした。  頼まれたことが進んでいないのに,“完全オフ”の日にして過ぎました。  頼んであった寒ブリが届き,上手ではない捌きで準備をしました。  あといくつ寝るとお正月…  ちょっと気になる“老い”に触れた広告のあった『孤独のすすめ - 人生後半の生き方』(中公新書ラクレを読みました。  2015年に出版された『嫌老社会を超えて』に加筆され,「“人生後半の生き方手引書”との内容となっている」と出版社が広告文をつけています。  マスコミは,“高齢化社会”を切り口に社会生活,経済活動,将来設計を語っています。  「人生100年時代…」「高齢者のために…」「ブレーキとアクセルを踏み間違え…」…  そうしたなかで,“老いに抗わず…”“等身大で…”毎日を工夫して楽しむことで「賢老」という生き方を綴っています。  五木氏の“賢老”な日々を愉しんでみませんか。 読書メモ
高齢化社会にどう生きるかを考えたとき,私の頭に浮かんだのは,減速して生きる,というイメージでした。それも無理にブレーキをかけるのではなく,精神活動は高めながら自然にスピードを制御する,という発想です。 ○結果的に,私がやってきたのは,体の不具合を「治す」のではなく,「治める」ことでした。治療というより,「養生」です。 ○古来,中国では人生を四つの時期に分けて考えたといいます。それが「青春(せいしゅん)」「朱夏(しゅか)」「白秋(はくしゅう)」「玄冬(げんとう)」です。この四つの季節を順番に進んでいくのが,人生というものです。 ○「老人階級」が階級として世の中に受け入れられる条件。それは,不可能とも思えますが,「自立すること」につきると思います。 ○古代ヒンズー教に生まれた概念に,(略)人生のそれぞれの年代には,それにふわさわしい生き方,役割がある,という非常に示唆に富んだ思想なのです。四つの時期は,「学生(がくしょう)期」「家住(かじゅう)期」「林住(りんじゅう)期」「遊行(ゆうぎょう)期」と言います。 ○そんなある日。私の脳裏に,ふいにひとつの言葉が浮かびました。  「嫌老」。  私は,思わず膝を打ってうなずきました。「違和感」の正体を,突き止めた気がしたからです。  ある現象をシンプルな言葉に置き換えることによって,ものごとの本質がまざまざと浮かび上がってくる,というのはよくあることです。 ○人間は,自分より「弱い」存在には優しくなれる動物です。(略)  ところが,そういう常識が現在は通用しなくなっているのです。現代日本に生きる高齢者層は,数のうえでメジャーになりつつあるだけでなく,とにかく元気で活発です。なおかつ,非常に目立ちます。 ○「豊かな老人」と裏腹の関係にあるのが,「貧しい若者」です。 ○『ハローワーカー』というそのマンガに描き出されているのは,(略)  そして,これは「炭鉱のカナリア」かもしれない,とふと感じたのです。 ○国民は,こぞってそれに参加して,お祭り気分の中で,なんとなく日々が過ぎていくのです。  みんながするべき心配から意識的に目をそらし,お気楽に日々を送る日本の現実を,私は「心配停止」社会と名付けました。 ○高齢者にお金を注ぎ込むのではなく,中心となって稼ぎ出してもらうという“逆転の発想”はまた,若者の職を奪うどころか,より高付加価値の仕事を彼らに提供することにもつながっていくはずです。 ○それは嫌老ならぬ「賢老」という生き方です。そんな自立した老人たちが生き生きと暮らす世の中を,「賢老社会」といっていいと思います。  高齢者の目指すべきひとつの姿,高齢化した国家の着地点が,そこにあるのではないでしょうか。
   目次 はじめに 第1章 「老い」とは何ですか 第2章 「下山」の醍醐味 第3章 老人と回想力 第4章 「世代」から「階級」へ 第5章 なぜ不安になるのか 第6章 まず「気づく」こと おわりに
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