集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

文化の日。 『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』(三宅香帆・著)

算額1103。 今日は、国民の祝日の一つ「文化の日」です。1948年に制定された「自由と平和を愛し,文化を進める日」です。  そして、今、第78回読書週間文化の日を中心にした2週間・10月27日〜11月9日)です。今年は『この一行に逢いにきた』を標語として実施されています。  最近、気に入った本と出合いましたか。読んだふりで済ませていませんか。  若い頃に、この手(どんな手?)の本を手に取って「重宝した」ことがあります。  書架で気になり、目次を見ると「知ってるけど、読んでないかも…」という本がたくさんありました。手に取ったものの、そのまま積ん読になって、やっと読んだ『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』(笠間書院・刊)です。
 読んだほうがいいのは分かってる! わかってるけど読んでもよくわからない! だから読んだふりをしちゃうんだ!  夏目漱石村上春樹ドストエフスキー三島由紀夫カミュ……。  読んだふりしたくなる、だけど実はよくわからない小説の楽しく読む方法を、注目の若手書評家の著者が解説。  教養のために小説を読みたい。ちょっと面白そうな名作があるから読みたい。  映画の原作になった文学を読んでみよう……と思っても、「忙しい」とあとまわしにしがちな人や、もう読んだふりをしたくない人に、名作小説も古典小説も、ちょっと読み方を変えれば、面白くなる「読む技術」を著者が伝授します。

 表紙そして中表紙には、積ん読”した本の横で寝そべる姿があり、これから読むのか、読んだふりですますのか、そんな感じのする長いタイトルの本です。  最初の「小説の読み方基礎講座」に
 たいていの名作とう呼ばれる古典的小説は、タイトルから内容が分からない、おそろしい商品である。  じゃあ反対に、タイトルから内容が想像できる本って何だろうか? たとえばビジネス書、実用書、あるいは、自己啓発本
という文章がありました。  本書は、タイトルから内容の想像ができる実用書ということになるでしょうか。でも、実用書でいいかな…。  まあ、それはさておき、著者の読み方は、タイトル、内容から、テーマ、メタファーを“楽しく「読み解く」こと”のようです。
 というか、もっといえば、作者が無意識につくっているメタファーもたくさんある。「そう描く理由を言語化できないけど、そう描くしかなかった物語」というのは、作者する気づいていないメタファーが潜んでいたりする。それを読み取るのが、あらゆる物語のいちばんの面白い読み方だと私は思う。だって作者も気づいていない物語の本当の意味を読めるんだよ。
 本書で紹介されている名作小説は、『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー・著/亀山郁夫・訳)から始まり、令和のベストセラー『三体』(劉慈欣・著/大森望・訳)まで、古今東西の20作品です。  読んだことのある本、知っている本、読んだふりしている本、知らない本…  1冊の本について、最初の1ページに「キャッチコピー」「読む技術」「読む小説」と概要(図書紹介)が載ります。  『羅生門』を例にすると、
人間の極限状態? ううんもっと人間の本性は、 浅はかなところで見えてくる。  読む技術:文章を楽しむ  読む小説:『羅生門   『羅生門芥川龍之介著   今昔物語集をもとに書かれた短編小説。(略)
で、読む技術と読む小説は枠囲みになっています。  次ページから、“どのように小説を読むか”や“メタファーはどこに”など、本を読む楽しさが述べられていきます。  そして最終ページで「読んだふりをしないコツ」に整理されています。  『羅生門』では、
  読んだふりをしないコツ 1) 文章をざっと読む 2) 内容を理解した後、ゆっくりゆっくり文章をちゃんと読んでみる 3) 気になった箇所は、なんでこの順番で文章が書かれているのか? を考えてみる
となっていました。  著者の“小説を面白く読む方法”を真似てみると、本を読む楽しさが変わってくるかもしれません。  最近、本を読んでいますか。  本書に載る図書から、いかがですか。
   もくじ まえがき 小説の読み方基礎講座  1 ぶっちゃけ、なんで小説ってわかりづらいんだろう?  2 あなたが「積ん読」しているのは正しいと思うたった一つの理由  3 古今東西の小説を面白く読むために必要な武器がある  4 生活の中心で、小説の面白さを叫ぶ あの小説を誰よりも楽しく読む方法  『カラマーゾフの兄弟』/『グレート・ギャツビー』/ 『吾輩は猫である』/『ペスト』 など あとがき
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