集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『統計学見るだけノート』(永野裕之・監修)

落ち葉1202。 良い天気が続いています。  新型コロナ禍のなか,ニュースや情報番組,新聞などで,さまざまな数値グラフを見ることが多くなりました。  ネットで「新型コロナウイルス グラフ データ 統計」(24時間以内)で検索すると,いろいろなサイトがありグラフがありました。“リアルタイム”の表示でも,元データは同じなのに“見え方(見せ方)”が異なり,印象が違ってきます。  深刻そうに「○○率が増加し…」と説明されると不安が大きくなったり,グラフを示しながら「○○が山を越え…」と言われると安心したりします。  でも,その○○率やグラフが“何なのか”が分かっているかというと…。  世間にあふれるデータの処理を“統計学”で説明していく『ゼロからはじめる! 統計学見るだけノート』(宝島社・刊)です。  図らずもデータやグラフを目にする機会が増えましたが,教育では新学習指導要領で「統計教育の充実」が図られ,子供達は,算数・数学で「データの活用」を学習します。
「日常生活の問題解決のために,データの特徴や傾向などに着目して捉え,根拠を基に筋道立てて考えたり,統合的・発展的に考えたりすること」という数学的な見方・考え方に着目して,「目的に応じてデータを収集,分類整理し,結果を適切に表現すること」,「統計データの特徴を読み取り判断すること」という2つの観点から内容が整理されている。文部科学省,2017)
 本書は,飲食チェーン店の本部で複数の店舗を管理するケイタさんが,統計学の先生から学んでいます。まず,統計学について,
(略) あなたの周りにはたくさんお数字が溢れています。統計学はそれらのデータをまとめて見やすくし,正しく分析するための学問です。
と説明し,講義を始めていきます。  各項目が,説明(文章)とイラスト(図)で見開きで講義されます。気になる項目から読んでも困りません。  各章の扉には,内容の概要見出しがあり,読み進む手がかりになります。  日々の生活のなかで AI がさまざまに登場します。でも,AIって…。  「“Chapter01-04 ビッグデータ”とは何なのか知りたい」「“Chapter01-06 人工知能が発達する詳しい理由を理解したい」で,イメージできるように分かりやすく説明されていました。  数式や専門的な解説は必要最小限(?)に抑えられ,(ケイタさんが)すぐに使える統計学の知識が説明されています。  統計学の入門書としてお薦めです。  そして,教員のみなさんには,「データの活用」の授業で役立つ“辞書”として利用できそうです。  先行き不透明な時代を,データをもとに「推定」や「仮説」を立て,あなたの“未来(あす)”に向かっていく力を得られるかもしれません。
   目次 はじめに Chapter01 統計学って何?   01 仕事に役立つ統計学を覚えたい   07 どんなデータを分析するのか知りたい  など Chapter02 統計学でできること   03 とらえにくい概念を数値化したい   05 仮説が正しいか数値で検証したい  など Chapter03 代表値で特徴を把握する   03 最もなじみ深い代表値「平均」を理解したい   08 3つの代表値の関係性を知りたい  など Chapter04 標準偏差から割合を求める   01 店舗の売上が上から何番目かを知りたい   10 変動係数でバラツキの大きさを比較したい  など Chapter05 「箱ひげ図」で正確に分析する   01 「はずれ値」を見つけたい   07 ひとつのグラフで複数の要素を表現したい  など Chapter06 相関係数で関係性を分析する   01 物件の賃料と立地の関係について調べたい   07 ニセの因果関係にだまされない  など Chapter07 仮説検定で論理的な答えを出す   01 統計学で未来を予想したい   08 帰無仮説から何が言えるかしりたい  など おわりに 割合の計算に使われる分布表 定義がひと目でわかる用語集
【関連】   ◇永野数学塾 永野裕之 (@naganomath)Twitter