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現場からの教育改革21の提言』(2007年)から、内容や活動を承知していたり、関わったものを紹介しています。
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二昔も前”の提言に、今の教育、これからの教育に参考となるモノがあると思います。
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提言19 「ふるさとを歩く」土曜子ども教室
*「土曜子ども教室」でこだわったこと
(つづき)
○「土曜子ども教室」開催の3つの条件
2005(平成17)年度の「土曜子ども教室」は、「ササユリ探訪会」「親子工作教室」「親子料理教室」(3回)「水生生物調査」「鳳来寺山自然体験教室」「設楽原歴史探訪」「親子トレッキング」「冬の星座ウォッチング」「百人一首大会」
の年間11回の開催であった。この教室開催には、特に次の点にこだわった。? 生活の原点である「親子での参加」を原則とする。
? 生涯を通して生活の根となる、「ふるさと」を舞台とする。
? 活動には多くのスタッフが必要である。ボランティア支援の中で行う。
○多くの失敗があってこそ
子どもたちに様々な体験、多くの人々とのふれあいを求めて始めた「土曜子ども教室」であるが、実施していく中では様々な困難や失敗が出てくる。それを機会として、子どもたちが「次の教室にも来たい」という意欲につながるものは何かを追いかけ、工夫してきた。
子どもが迷子に!
6月初旬、可憐な花を咲かすササユリ観察会を風切山周辺で行ったとき、一部の子どもが迷子になってしまい、捜すのが大変であった。
親子参加であるが、子どもたちは子どもだけの集団を作り、どんどん先に行ってしまう。所々で説明会をもちササユリの生態について講師の話があるのだが、そこでチェックできないと、子どもたちは折返し点にも気づかずどんどん山の中に分け入ってしまう。子どもたちの興味は計画とは異なったところにあり、冒険心とも相まって予想外の動きとなる。これを教訓に以後の探索会やトレッキングなど野外の活動には、先頭集団用に旗を作り、これより先には行かないことを約束させて行っている。
子どもたちの興味の対象は歴史や絶景そのものではない!
子どもたちは様々なものに興味をもつが、静的なものより動くものに、より目がいく。日本の歴史の分岐点となった「武田軍と織田・徳川連合軍の設楽原決戦場」を訪ねる歴史探訪には、多くの市民や親子が参加してくる。いきおい歴史の説明が多くなるが、子どもたちにとって一つの石碑、一つの布陣場所に興味を持続させることはむずかしい。虫や蝶など動くものには興味を示す。だからといって、昆虫採集などを取り入れると、また新たな困惑が生まれる。
○ボランティアの参加があってこそ
教室運営は講師と担当者のみでは、楽しく安全な教室開催は不可能である。地域の方の協力やボランティアの力があってはじめて成り立つものである。例えば「紅葉の雨生山に登る」では、次のような協力をいただいて実施ができた。? 登山口の家の方から、山登り用の[竹の杖]を人数分いただいた。
? 集合地の近くの農家で、子どもたちのお土産にサツマイモを掘る芋掘り体験の場を提供していただいた。
? 山登りには多くの道案内が必要なので、道案内隊をお願いした。
? 雨生山特有の鉱物採取には、地学専門の先生方が協力して下さった。
? 秋の植物観察・採集には自然調査員や博物館学芸員の協力を得た。
? 集合地に地元の集会場を、近くの工場の方に駐車場をお願いした。
? 登山道の事前整備・草刈り、案内板の設置などへの協力。
(つづく)
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注)
これまでの記事は〈タグ「教育改革21」〉で
注2)引用した原稿は、その内容を現在に合わせて省略や修正を加えたところがあります。