集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『赤と青とエスキース』(青山美智子・著)

桜0407。 今日は中学校の入学式でした。  朝から荒れた天候で、強い風が吹き、雨が激しく降りました。新しい制服、履物、持ち物が濡れてしまったかもしれません。  少し残念なスタートになりましたが、充実した日々を過ごしてください。  著者名を見て手にした『赤と青とエスキース』(PHP研究所・刊)は、前回の本屋大賞2022の第2位だった作品です。  カバーは全体が古びた机であり、表に正方形の用紙に赤と青で描かれた絵、ペインティングナイフなどが、裏は赤と青の絵具や絵画の額などが置かれています。  題名の「と…」は、この絵具、色のことのようです。「エスキート」は、表紙のようすから絵画に関する言葉だと思いますが、初めてです。  表紙を開き、プロローグは4行…。
 壁にかかった一枚の絵の前に、わたしは立つ。   (略)  ああ、いい絵だ。
 これは、誰が言っているのか。  この絵に描かれているのは、何か。  物語は、メルボルンに留学中の女子大生 レイが“絵のモデル”になることを、現地に住む日系人 ブーから頼まれるところから始まります。  レイとブーは、“期間限定の恋人”として付き合っています。  その期限が間もなく終わります。二人は…。  二章に登場する額職人 空知が、『エスキース』というタイトルの絵画に出会い…。  三章でマンガ家が…。  四章でパニック障害が発症し休暇をとることになった女性が…。  エピローグで、水彩画の大家 ジャック・ジャクソンの元に、20代の頃に描いた絵が戻り…。
赤と青とエスキース0407。
 それぞれの物語を楽しむなか、その“繋がり”が気になりますが、よく分かりません。  後半そしてエピローグになると、それらが時を超えて“語り出し”ました。  そうだったのか…。  みなさんにお薦めの一冊です。  読書メモより
○ 「だれでも玉手箱を持ってるもんなんじゃない? ただ、玉手箱を開けたらあっというまに老人になるっていうのは違うと思うの。そうじゃなくて、箱を開いて過去をしみじみ懐かしんでいるときに、自分が年を取ったことを知るのよ、きっと」 ○ きっと意図もされぞにカラフルな模様を作っているそれは、そのものがひとつの芸術作品みたいだった。ジャックのいうところの、「偶発的な」。 ○ ジャックの手元にあるパレットには、二色の絵の具だけが絞り出されていた。  赤と。  青と。 ○ 僕は探し求める。  「近いもの」じゃない。それしかないと、ぴったりくるものを。 ○ 砂川にしてみたらきっと、なんでもできてしまうことは自慢でも驕りでのなく、逆にコンプレックスだったのだ。「普通」を与えられなかった、天才だけが抱く苦悩。そう考えたら、もはや嫉妬も起きなかった。 ○ 「というか、脳の誤作動だと思う。だから体調が悪いってこと」  「脳?」  「バカなのよ、脳って」 ○ もう来ない赤い生理。  もう青くならない髭の剃り跡。 ○ スクラッチ。  シャッ、と音がして、そこに一筋の白線が浮かび上がった。
   Contents プロローグ 一章 金魚とカワセミ 二章 東京タワーとアーツ・センター 三章 トマトジュースとバタフライピー 四章 赤鬼と青鬼 エピローグ
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