集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

作手村の自然(1) (つくで百話 最終篇)

柿1205。 朝,濡れた景色で,雲が覆った空でした。雨の日かと思っていましたが,徐々に晴れてきて,昼前には綺麗な青空が広がりました。  晴れた冬の日でした。  今日,本に「新聞,テレビのような旧メディアは高齢者向けの(略) 新聞やテレビは高齢者にターゲットを絞っている」と書かれた内容を,納得して読みました。  テレビで「新型コロナウイルスの感染者が過去最多を更新し…。重症の患者は前日○2人増えて…。」と伝えていますが,高齢者向けの情報(煽り)で広がりがなさそうです。  テレビや新聞が「感染情報を止めたら…」,社会が上手く動くような気がするのですが,マズいでしょうか。  『つくで百話 最終篇』(1975・昭和50年7月 発行)の「民族と伝承」の項からです。 ********     作手村の自然   権田昭一郎  作手村の自然は,その広い面積(116.9km2・殊に南北に長い)と,標高五五〇m(高里)の高原が三河平野から屏風状に隆起した特異な地勢が主因としてもたらす緯度(北緯34.59度)の割合に異常に低い気温(年平均12.3℃)と,太平洋気団の断熱膨張による多雨現象(年平均降水量2332mm,全国平均より800mm多い)等,殊に夏季の低温多雨の気象粂件は,当然のことながら動植物の分布にも他地域と一線を画した現象を呈しています。  まず,村内の植物分布を概観すると,保永・大和田地区の巴川流域と,岩波川流城の標高400m以下の地域には,アカガシ・シラカシ・アラカシ・ヤマモモ・イズセンリョウ等を主体とした常緑広葉樹林が発達し,草本にも,オオバノハチジョウシダ・ホラシノブ等暖地系のものがみられます。中部高原と,田代地区の標高400〜600mの地域では,ハンノキ・コナラ・サワフタギ・アカメガシワ等の落葉広葉樹林に変り,草本もナペワリ・ワレモコウ・マツムシソウ等いわゆる温帯系のものが目につくようになります。更に標高600m以上の菅沼・守義地区や,本宮山まで上るとブナ・トチノキヤマハンノキ・ツガ等の大木とハンカイソウ・オタカラコウクリンソウ・ハンゴンソウ等寒地系の植物が見られるようになります。また,村の中北部に点々と広がる湿原は別項で紹介したように,作手村特産の植物や,他所ではあまり見られないようなものがかなり多く分布しています。  更に村内各地の特色ある植物を拾ってみると,まず鳴沢の滝には,県道ぞいの滝の上の樹幹にヨウラクラン・ムギラン等の着生ランが密生し,滝つぼの岩壁にはイワタバコ・ダイモンジソウが,また杉林の下にはハナミョウガ・コウライテンナンショウ・シュロソウ・シャガ等が大群落をつくっている。守義の部落から勘蔵峠にはヤブウツギ・ビロウドウツギが多く目につき,琴音の松は,前の道路が掘り下げられたため景観が悪くなった。菅沼の奥のオオクテ湿原と東加茂郡境附近の湿原にはミズチドリ・イヌヌマトラノオクリンソウ・ホソバノヤマハハコ・ミヤマセントウソウ・ゴマナ・ハンゴンソウ・ミズギボウシ・ハランギボウシ・ヨゴレネコノメソウ・トモエソウ・ベニドウダン・ノハナショウブ・ミズゴケなどが見られ,中部の湿原とは,かなりの相異がある。周辺の山地には,オクモミジハグマ・コジキイチゴ・シロバナツリフネソウ・コオニユリオタカラコウ・メタカラコウ・ドクゼリ・ヤマユリトウゴクミツバツツジ・ヒメトラノオ・ヤマオダマキセンニンソウ等がある。善夫の県道側の畑地では,チョロギを見た。黒瀬の開墾地に入ると,突然公害植物として問題のセイタカアワダチソウが出て来る。この道は秋に歩くと,堤防にススキの白い穂が美しい。川ぞいの山地には,カワチブシ(トリカブト・猛毒)・ミカワバイケイソウ・サラサドウダン・サワシロギク・サクラバハンノキ・ミヤコツツジ外来種メリケンカルカヤ・ミドリカモジグサ・ヒメスイバ・オランダミミナグサ・サジオオバコ等もかなり見られ,開拓地らしい植相を呈している。長野山から東田原にかけては,林下にジガバチソウ・イヌセンブリ・ナガボノワレモコウ・サワギキョウ・スイラン・ホタルイ・カザグルマ・ベニカンゾウ等の湿原植物が見られる。東田原(ウキ)の湿原には,サワラン・トキソウ・ミコシギク・カキツバタ・サギスゲ・ヌマクロボスゲ・ヒロハノコジュズスゲ・サギソウ・ヒメミクリ等,貴重なものが数多く分布していたが,今は完全に消滅し全部水田に変わった。 (つづく) ********  注)これまでの記事は〈タグ「つくで百話最終篇」〉で  注)『続 つくで百話』の記事は〈タグ「続つくで百話」〉で  注)『つくで百話』の記事は〈タグ「つくで百話」〉で