集団「Emication」別館

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人日の節句。七草の節句。

七草0107。 天気のよい一日でした。  明日7日は、五節句の一つ「七草の節句」です。  「七草の節句」は、『人日(じんじつ)節句』と言いい、他の節句のように同じ数字は並びません。人日とは、文字通り “人の日” の意味です。  昔は、「6日年取り」と言って、七日を新しい年が始まる日と考えたため、この日に、「一年間 、外敵が来ないように」と祈ったのだそうです。  これは、平安時代からの風習であり、外敵は人間だけではありません。“魔除け”を願う気持ちの方が強かったようです。したがって、儀式に供える七草粥の作り方も大がかりだったようです。  例えば、包丁で七草を刻むときに、まな板を7回たたいたり、
七草なずな、唐土の鳥が日本の土地にわたらぬ先に、七草なずな
という言葉を7回唱えたりしていたそうです。  中国は前漢の時代、東方朔が記した占いの書には、正月1日に鶏、2日に狗、3日に羊(猪?)、4日に猪(羊?)、5日に牛、6日に馬、7日に人、8日に穀を占って、その日が晴天ならば、雨天ならばの兆しであるとされていたようです。  ですから、7日の人の日には、邪気を祓うために、七草の入った粥を食べ、一年の無事を祈ったのだともいわれています。  最近では、こういった意味合いはなくなり、年末年始の飲食で疲れた胃を休める”ために、七草粥を食べるという話が一般的になっているようです。  この春の七草の種類は、普通、セリ、ナズナゴギョウハコベラホトケノザスズナスズシロをさします。
君がため 春の野に出でて 若菜つむ 我が衣手に 雪は降りつつ      光孝天皇(15番) 『古今集』春・21 せり,なずな,ごぎょう,はこべら,ほとけのざ,すずな,すずしろ,これぞ七草      四辻の左大臣源氏物語の注釈書『河海抄』より?)
 以下、先日(12/27)の記事に追記して蘊蓄を。
◇七草〔1月7日〕
   1月7日の朝に「七草がゆ」を食べると、一年無病息災で過ごせる。  当初は七草は、草ではなくても、七種の穀物(米、麦、あわ、きび、ひえ、ごま、小豆)をかゆにして食べたといわていますが、鎌倉時代に、いつしか七種の野草に なったようです。  セリ、ナズナゴギョウハコベラ、仏の座,、ズナ、スズシロ  どれも、春先のまだ寒い時に緑色をしている。これらの緑色の野草を食べて、早く暖かい春の訪れるのを待とうという気持でもある。また、お正月のごちそうで疲れた胃を休めようという、古人の知恵もあった。
 
◇七草の名前の由来
芹(せり) [効能] 健胃・食用増進・解熱・利尿・去痰 水生地に自生する。競り勝つの意。セリの若菜は香りが良く、お浸しなどの食用に。新芽がたくさん「セリ」あって育つのでつけられたといわれる。
薺(なずな) [効能] 止血・消炎・鎮痛・利尿・解熱・下痢止め 別名「ペンペン草」。三味線草。撫でて汚れを除くの意。日本各地の草原に自生しているアブラナ科の草の一種。秋から冬にかけて育ち、春には種を実らせるので「夏なら菜」で「なずな」になったといわれる。
御形(ごぎょう [効能] せき止め・去痰・扁桃腺炎・利尿 ゴギョウは、人形(ひとがた)のこと。多くが母と子の人形であったので「ハハコグサ」(母子草)と呼ばれるキク科の草。黄色い小さな花がまとまって咲く。仏の体のこと。
繁縷(はこべら) [効能] 利尿・乳汁分泌促進・歯痛・消炎 古くは「ハクベラ」といい、ハクは綿布のこと。ベラは古語で“むらがる”ことだという。細かい茎に葉がついている様子が、綿布がもつれあいむらがっているように見える。草は地を這っている。白い小さな花が咲きます。繁栄が蔓延る(はびこる)こと。別名ハコベともよばれるナデシコ科の草。
仏の座(ほとけのざ [効能] 利尿・乳汁分泌促進・歯痛・消炎 コオニタビラコ(小鬼田平子)と呼ばれるキク科の草。現在「ホトケノザ」と呼ばれているものはシソ科の草で別種になる。地面に平らに広がって生えている葉を仏の座に見たてたもの。地面近くに広がるように開いた草に黄色い花。
菘(すずな) [効能] 消化促進・解毒・せき止め・そばかす カブのこと。「鈴菜」とも書く。昔のカブは、葉を重用したので「すず葉」という。
蘿蔔(すずしろ) [効能] 消化促進・せき止め・去痰・利尿 ダイコン(大根)のこと。 アブラナ科の二年草で、蘿蔔や清白とも書く。七草のときに限り「すずしろ」という。白い花が咲く。潔白を表す。
 先人は、知識ではなく知恵で、これらに気づいて「七草粥」を取り入れていたのでしょう。  先人の知恵に学び、身に付けていきたいものです。 【関連】   ◇春の七草(季節の花300)